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新現美術協会50年史掲載(2000年12月刊行)
「捨て切れぬ夢の過剰がある日溢れだした」
世界は厚い---と
---時計が逆さまに回りだす
過ぎていった幻影---
メランコリックな街角
ガラス戸に写る 冬を待つ庭
再生の困難さと 日々の深み
ふと海を思う
寄せては返す波を思う
波が運ぶその砂の ひとつぶにも満たぬ己のを思う
全てのものを綯い交ぜにして 人は通り過ぎる
いま在ることの不確かさの実感と 存在の重み
自分の言葉で語ろうとすることの難しさ
語りだした瞬間(とたん)に 言葉はひとり歩きを始める
なれ親しんだ町 なれ親しんだ人々が 唐突に意味を失う
無数に口が 空しく音を発する
(そんなに 微笑むな 何度も
お前の言う 優しさなど 私は信じはしない)
他人の目の中で 己れの姿が みるみる変貌する
脆く 移ろいやすい 己れの思い
刻々と変わりゆき 容とどめず 想いとどめぬ
いとおしい「時」かたみ
奪われた「時」の 敵意にも似た無言
閉じ込めておこう せめて無垢なる面に
あんなに自由に飛び回っていた蝶が
羽を広げて
美しい骸となって
あらゆる時と 意味のない 意味を生きるように
さあ帰ろう 内なる思想に
徒労でしかない日々の 彩りの世界へ
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